「おい」


びくんっ


後ろからいきなり声が飛んできて、私とナユタはそのまま固まった。

その低い声はギンだった。


「ギ・・」

「トイレどこ」


ってトイレかーーーーい(泣)

そのタイミングでナユタが私の手を離したので急いで後ずさった。


「あ、ああ。その廊下を右だ」

「おう」


ギンは背中を向ける。

それから一歩前に踏み出したところで立ち止まった。


「そいつに手だしたら、お前の主が怒るんじゃねぇか?カサネのもんになるんだろ?」

「・・・」


ナユタはそれに対して反論せず押し黙ったままだった。


「女、その先に風呂がある。行け」


「あ・・はい」


私は促され、足早に風呂場へと向かった。

胸がドキドキしていた。

ギンが助けてくれた気がして。

勝手に嬉しくなった。