「で、ギンは何の仕事してるの?」


「俺は警備」


「へー」


私は自分から聞いておいてサラっと流した。さっきのセクハラのお返しだ。



「おい、もう少し突っ込めよ」


「はいはい。警備ってなんの?」


「この国の国境とか、全部」


「え!?全部?」


なんだか凄そうな響きだ。

カサネが嬉しそうに捕捉する。


「ギンは東の全警備隊の隊長なの!カッコいいのよ~」


「へぇ・・・」


「信じられないって顔だな」


「まあ」


グイっと酒を飲み干し、ギンはグラスを置いた。


「この国は他国との交流がない為に、内部で揉めてんだよ」


「うわ・・戦国時代みたいだね」


「その戦国時代ってすげー古い時代だろ?つまり脳みその退化だな。
結局、この国の人間は天下統一ってのを目指したいんだよ。まぁ、いつも争ってる訳じゃないけどな」



センリはウンウンと頷いている。


「他国からの足かせが外れたからな」


「私の時代はとてつもなく平和だったのに」


「平和ねぇ。この国も今は平面状ではそう見えるかも知れないけど。
でも結構ドロドロしてるぜ。特に女関係はな」


「そうなんだ・・」



残念すぎるよ日本。

また同じ過ちを繰り返してるって事なの?

戦争は憎しみや悲しみしか生まないってあれほど習ったのに。



「だから俺は他の3つの国や少数民族なんかに攻められない様にいつでも待機してるってわけだ。いつ何が起きるかわからないからな」


「そうなんだ。凄いねギン・・」


「まあな」



私の知っている国とはほとんど異なる。

もう別の世界ととらえてもいいかもしれないな。


私は自分のグラスの氷を見つめた。

カラン。。

と割れた音がした。