と、期待に胸を膨らませて上を向いた。が


「ギ・・」


「静かにしろ。女。舌を噛むぞ」


ギンじゃないいいいいいいっ(泣)


全然違う声が聞こえて来て、ショックの大きさといったら半端なかった。


知らない人が私を攫っていただけだった。

真っ黒なカラスだ。狂暴そうな大きな口ばしと真っ赤な目がギョロついた。


「ひっ」

「ヒオリーっ」

「つつ・・ツムギさん!?」


懸命に背後を確認するとツムギさんも捕まって空を飛んでいた。

どうやら私達二人とも知らない人に攫われている真っ最中らしい。

ぐんと高度が上がった気がして不意に下を食い入って見てしまった。

地上がとんでもなく遠い。全然見えない。かなり高い位置にいるみたいだ。


「怖い・・マジ・・無理」


がくっ。


生粋の高所恐怖症な私だ。

白目をむいてそのまま気を失った。