「はあっはあっはっ・・はあっ」


どれくらいの距離を走ったんだろう。

自分でもよくわからないけど、城から大分離れてしまった。

城下町の門を飛び出して、ビルが立ち並ぶ大都市へと出た。


「ふわ・・凄い・・・」


夕方ももう終わりかけで、徐々に薄暗くなってくるのを感じる。

次々と電飾が付いて行って、煌めくビルが立ち並んでいるのを見回した。

まるで自分の時代の東京の渋谷か原宿に雰囲気は近かった。

近いというか、もしかしたら同じ土地かもしれない。


「ヒオリ、マズイわ。帰りましょう」


私はようやくこの場所が女にとってまだ危険な場所なんだと察知した。

でも気が付くには遅すぎた。


半獣の男たちが私達をジロジロと吟味している様だ。


「女子じゃん。可愛いー」


すぐさまチャラい猫系の男たちに囲まれた。5、6人はいる。


「城から女達が解放されたってのに、全然こっちに回ってこないからよ」


「女どもは金持ち選んですぐに結婚しちまうし」


「ここで会ったのも何かの縁てことで、今からデートしようぜえ~?」


と無理やり肩を抱かれた。


「あ、いえ・・ちょっと無理です」


「は?」


「人を探してるんで・・行けません」


恐怖と戦いながら私はかたくなに拒否した。が


「いやいや、聞いてないし。お前の意見は」

「え・・」

「いいから一緒に来て、ちょっとイイ気持ちにさせてくれればいいから。相性良かったら結婚しようぜ~ハハハ」



ザアアーー。

一瞬で血の気が引いた。


普通に襲われる感じですか。マジですか。ヤバいどうしよう。


恐怖で体が強張った。