ギュッと大きな上着を抱きしめると、微かに懐かしい香りがした。


「!!!」



私は慌てて立ち上がる。


「ヒオリどうしたの?」


「いる!!ギン、近くにいるかも!!」


「え?」


「きっと、これ、ギンの・・・っ」


口に出したらまたボロッと大粒の涙が溢れた。


「あ、ああ・・もう嫌だ。こんな気持ち・・辛い」


「ヒオリ・・」


「会いたい・・だけなのに・・いつものギンに会いたいだけなのにぃ・・」


でもきっとまた逢えば無視をされるかもしれない。

触れることは出来ないかもしれない。

そうしたらまた傷つく。

怖い。



震える私の背中を、ツムギさんは優しく撫でてくれた。