「大丈夫か?手切ってない?」

「あ・・うん・・」


ギンが東の城から出て行って3日が経った。

侍女達の噂では仕事で出張という事になっているらしい。

本当の事を知ったら彼女達は私を刺しに来るかもしれない。

自業自得だけど。


「この間の事、すまなかった」

「え・・」


センリは申し訳なさそうに私の手を取った。


「その・・無理やりあんな事をしてしまって・・俺はヒオリをトキワ様の為に呼んだハズなのに」


「あ、その事・・ね」


目の前にいるのは本当にセンリなのだろうか?

かなり疑わしい。


私の目の前にいる男は目線を外しながら眉をへの字に困らせている。


「死ぬ前の俺は、ヒオリの事やっぱり好きだったかな?」


「・・・・え」


やっぱりって?


ドキン


「記憶はないけど、ヒオリといると楽しいし・・自然と穏やかな気持ちになれる。
だからきっとヒオリに出会った俺はきっとヒオリを好きになってるんじゃないかなって。今の俺はヒオリが好きだから」

「は・・はい?///」


私は困ってしまった。

今はそれどころではないと言うのに。

なんの作戦なのセンリ?


「そんな事わかんない」


私はすぐに目を逸らした。

確かに死ぬ間際に本音を聞いた。

私の事、ギン達と同じ様に好きになったから作戦を失敗してしまったって。

でも、それは私にとって過ぎた事だ。

受け入れられない。

目の前にいるのはセンリだけど、

脳裏に浮かんでいるのはギンの顔だから。


「・・すまない。忘れてくれ」


「・・・うん」


センリもきっと察してはくれてる。

私がずっとギンの帰りを待っているという事。

この人は出来るイケメンなのだから。