「ギン・・ねえ?一体どうしちゃったの?」


「・・は」


ギンは乾いた笑いをする。

くしゃりと眉間にしわが寄った。

それはとても苦し気だった。


「お前が一番よくわかってんじゃねーの?」


ドキン


「え?」


ギンはそう一言だけ言うと、荷物を持って立ち上がった。


「ど、どこいくの・・?ねえ?」


嫌な予感しかしない。

ザワザワと心に波風が立つ。


「さあな」


ギンは振り向きもせず部屋から出て行こうとした。


「ギン!!」


緊張で手がびっしょりだ。

私の事を全然見てくれない。

目を合わせてくれない。

ギンは私を無視し、廊下に出た。