その日の夜、ギンは与えられたベッドで眠っていた。

思ったよりも傷が深く、薬で眠っていた。

私は椅子に座ってギンの顔を眺めていた。


「ヒオリちゃん」


「あ、ツカサさん」


静かに部屋に入ってきたツカサさんに全然気がつかなかった。


「そんなに思い詰めないで」


「・・はい。でも、こんな事になるなんて・・やっぱり危険な場所なんですね」


「不慮の事故だったらしいし。ちょっと運が悪かっただけだ。ギンは強いよ。大丈夫だ」


「はい」


そう言いながらツカサさんは私を廊下へ促した。

真剣そうに私を見つめてくる。


「ツカサさん?」


「センリの連れてきた教授が、時空転送装置を使えるらしい」


「え!?」


「俺はセンリと一緒に行動するよ」


「危険ですよ!」


「でも、帰れる可能性がある。俺はそれに賭けるしかないんだ」


「でもっ」


「ヒオリちゃん。ここまで連れて来てくれてありがとう」


突然最後の別れみたいに言われ、心臓がドクンと脈打った。


「感謝してる」

「な、何言ってるんですか・・私は何も・・」

「ヒオリちゃん達と出会わなかったら、きっと俺は諦めていたから」


ツカサさんの決意は強い。私と違ってちっとも揺るがない。

羨ましいとさえ感じてしまう。


「わ、私は・・反対です。危険すぎます」

「ヒオリちゃん」


私はギンや他の人たちの怪我を見て臆してしまっていた。


「それにツムギさん達だって・・ツカサさんをあんなに心配してる」


「うん・・」


それを聞きツカサさんは分かりやすいくらい顔を歪めた。


「でも・・決めたからね」


と、私の肩を優しく叩いてそのままツカサさんは私の前から姿を消した。