でも言わなきゃ!!

ギンも頑張ってる!私も!!


意を決した。


「トキワ様、ごめんなさい!」


「ん?」


震えながらも言った。全身ガクブルだ。

今にも心臓が止まりそうだ。


「私・・ギンが好きなんです・・ギンの事が」


しん・・・。


「・・・」


トキワ様は黙ったまま私を見つめているけど、私は真っ直ぐに見返す事なんか出来なかった。

俯いたまま想いを伝えるので精一杯だった。


「だから・・トキワ様の期待にはお答えできません。結婚も妃も」


「・・・ヒオリ」


「ごめんなさい・・本当にごめんなさい!!!」


私が謝った直後だった。


「痛・・・うグ・・うぅ・・」


「トキワ・・様!?」


突然目を押さえ、痛がっている様に見えた。


「いそぎ・・離れよ・・・グ・・ぅ」


「え?一体どうしたんですか!?」


急に苦しみだしたトキワ様に、私はおろおろとどうする事も出来ない。


「危な・・くっう・・ヒオ・・」

「あぅ!!?」


おもむろに首を掴まれ、私は恐怖におびえた。

トキワ様の右腕は私の首を捕らえている。

息が出来ない。


「トキ・・様・・っ」


「誰かを・・呼べ・・・グ・・離れ・・・っオリ・・」



トキワ様の乱れた髪の奥から見えたのはレモン色の瞳ではなかった。

真っ赤に染まった血の様な瞳だ。

その瞳は憎しみに歪むかの様に私を見つめている。


「トキワ様・・苦し・・っ・・あ・・」


「ぐうっ・・!!!ヒオリ!!」


トキワ様は左手で私を掴んでいる右腕を強引に引きはがした。


「あ・・」


私はその場に倒れ込んだ。


「はぁ・・はぁ・・」


手は首から離れたが恐怖で声も出ない。

叫べない。

そして動くことも出来なかった。



何これ?何が起きてるの?

私・・・・




殺されるの?