簡単な化粧を終え、私は広間へと向かった。

廊下を歩いている途中で、窓から空を眺めるツカサさんを見つけた。


「あ・・ツカサさん」


「ヒオリちゃんおはよう」


「おはようございます」


ペコリ。


「皆大広間へ行っているみたいだよ。出発の準備が出来て整列してるって」


「もう整列してるんですか」


「トキワ様が到着次第ってとこかな」


トキワ様、昨日体調がすぐれないって言ってたよね。


大丈夫かな。


俯いて歩いていると、ツカサさんはそれを気にしてくれたみたいだ。


「昨日、アサギがやらかしたみたいだね」


ドキ


「へ・・・あ・・はい」


「相当落ち込こませてしまったね。ごめんね、俺のせいで」


「ツカサさんの?」


「あいつは酔ってからむ癖があるから、俺が突っぱねたんだ」



ああ、なるほど。そういう事でしたか。

昨日のシーンを思い出してしまった。


「そしたら怒りだして、ギンを無理やり廊下へ引っ張っていったから」


「あ・・」


「ごめんね。俺からも謝る。辛い思いをさせてしまっただろ?」


「だ、大丈夫・・です。あんなの平気です」


「我慢しなくていいよ。殴っていい俺でよければ」


「いえいえいえ、滅相もない」


そんな話をしていたらあっという間に広間へ着いた。


きっとアサギさんはクレハちゃんと同じ。

ツカサさんに想いが届かないから他の人で埋めようとしてしまったんだ。

たぶんだけど。