私は深く深くお辞儀をした。

「ごめんなさい。ツムギさんも辛いのに・・自分の事ばっかり」


「ううん。同じ女だもん。わかるわよ」


「うう・・ツムギさん」


なんてイイ女なんだあなたって人は。

私が男だったら好きになってるきっと。


「ツカサは新婚だったのよ。子供もいて・・ショックだったけど・・どうしても振り向いてほしかった」


ツムギさんも自分の想いをぶちまけてくれるらしい。

黙って傾聴した。



「ツカサが帰れないかもしれないって思った時、喜んだわ。最低よね」


「え?あんなに帰してあげたいって言ってたのに」


「あんなの嘘。イイ子ぶってただけよ」


なるほど。本心ではなかったんですね。


「ツカサに好かれたくて・・イイ子ぶってたけど。やめたの。何を言っても揺るがないから」


「それって・・」


「うん。もう吹っ切るわ。だから、最後の別れのキスを・・ね」



ニコリ。

としていたけど、凄く辛そうだ。


「ツムギさん・・」


「あら・・私まで涙が・・ウフフ」


そんな話をしていたら一気に酔いも醒めてきた。


「ありがとう、話してくれて。話を聞いてくれて」


「私こそ」


「ヒオリちゃんは私よりも複雑な状況だから、気を付けてね。応援するから」


「・・・うん」


そうだね。

私はまだトキワ様にギンが好きだって告げられてない。

やっぱりそれは言わなきゃならないと思う。

けじめだから。