「そろそろ昔の様に王子らしく振舞ったらどうだ?この城の兵士達は皆、お前の帰りを待っているのだぞ?」


「は?」


トキワ様の言葉が理解出来ずに、ナギは相も変わらずガン飛ばしてる。

ヤンキー癖が抜けないのかしら。


「言ったろう?ここは私が占拠したが、お前に返還してもいいと思っている」


「それは前に断ったハズだ」


「だがふらふらしていたら周りに示しも付かぬし、ここを守ってくれていた諸大臣達にナギの話をしたら喜んでいたぞ。
王家の血筋はなるべくなら絶やさない方がいい。民をまとめ上げる素質も備わっているのだから」


「そんなもんねえよ。俺は王子として何も勉強してこなかったんだ」


口が悪い。ギンにそっくりだ。

私はちょっとだけナギの王子の姿も見てみたい気がするけど。

でもナギは嫌なんだよね?


「ヒオリはどう思う?」


「えっ」


トキワ様、無茶ぶりにも程があります。

困ったなあ・・。



「えっと・・・ナギは出会った時と比べると今は凄く頼りがいがあって、先日も成長するって宣言してくれたし・・
いい王様になれると思います・・」


「ほう?」


「でも、ナギが嫌だというのなら・・それでもいいと思います」


「ヒオリ・・」



複雑そうな表情のナギだ。


「ナギは10才でここを出ていますし、ギンが親代わりなんです。お城の状況とかもわからないだろうし」


「ふむ。だが、今は15になり立志式を迎える歳でもある。おとなになるという自覚を深める歳だ」


「元服ですね」


とツカサさんが補足してくれた。


「私は10で王になったのだぞ」


「え!?」


トキワ様の発言に驚いた。


「私にもできたのだから、ナギに出来ないハズもない」


「・・・」


ナギは思い悩んでいる。

ずっと俯いたまま何か考え事をしているみたいだ。