「帰りたいって思う事は悪い事じゃない」


「ナギ・・」


「でも、寂しいから嫌だけど」


「プ・・正直だね」


「おう」


ナギはよく私の手を繋ぐ。気が付くとさりげなく繋いでる。

いつの間にかそれは自然な事になってた。

でもこの手から伝わってくる温もりに私は何度も助けられたのを覚えてる。

私の中でそれが安心感に変わっている。


ツカサさんも懐かしそうに遠くを眺めている様子だ。

きっと家族の事を思い出しているんだろう。


「ツカサさんの、奥さんとお子さんて・・」


「ああ。結婚して2年。子供も1歳」


「えっ・・」



それは何がなんでも帰りたいと思うだろう。

新婚さんで幸せの絶頂の最中だったんだ。

可哀想すぎる。


「大阪に仕事で出張中にね。ホテルで寝てたハズなのに、いつの間にか大自然で寝てた」


「そうだったんですか・・」


西の国から来たって言ってたもんね。

なるほど。飛ばされるのはその時いた場所って事か。


「じゃあ私が寝てた場所は、自分の家だったんだ・・」


「へえ・・」


飲み過ぎてフラフラでそのままベッドにダイブしたのは伏せておこう。

うん。