「いいから言えってば」


ひく。

と私はひきつった。

どこぞのレディースみたいだったから。

めちゃくちゃ睨まれてる私。

ガン飛ばしクレハだ。


「あんたがしっかりしないと、このままなんだよ!私はこんなの嫌だ」


「えっと・・クレハちゃんてツカサさんが好きだったんじゃ・・」


「好きだった!!年上でも子持ちでも、それでも良かったんだ!」


え?ツカサさん、子持ちなの?そこにびっくりなんですけど。


「でも、あの人は帰ってしまう・・大好きな人の所に!!だったら、新しい恋の方が幸せになれるだろ!?」



涙をグッと堪えながら、クレハちゃんは言った。


「うう・・・ちくしょ・・こんなハズじゃなかったのに・・」


「クレハちゃん・・」


なんか、ごめん。

と心から謝罪した。

心の中でだけど。



そして私は伝えたかった。


「無理やり、恋はしなくてもいいと思うよ」


「無理やりじゃない!ナギ君は・・話をちゃんと聞いてくれるし、私に気を使ってくれるし・・頼れる。カッコいい」



それを聞いてナギは握っていた拳を解く。


「・・クレハ、ごめん・・俺は」


「いいの。どんだけ迫っても・・なんにもしてくれなかったもんね」


なんですと!?

その言葉に私とギンはナギを凝視した。



あのナギが!?

隣町のピンクの店に通ってたナギが迫ってきた女に手を出さなかったの!?

信じられない。



「ごめん。頭冷やすから・・シャワー貸して」


とクレハちゃんは顔を隠しながらお風呂場へと入っていった。