ギンはずっとセンリを睨みっぱなし。

私はそれを見てみぬ振りした。

センリは気にせずに目の前の料理を食べている。



「この酒、旨くねえな」


「へえ、それは残念だな」


「・・・」


一触即発なのか?出来れば近づきたくない。

雰囲気が悪すぎる。ギンはセンリを信用してないって言ってたし。

でも私にとってはトキワ様とセンリだって今は大事な仲間なんだから。

私は平然を装ってセンリに話しかけてみた。内心はガクブルだけどね。


「えっと・・トキワ様、なにか言ってた?私の心配以外で」


「まあ・・主に時空転送の事だな」


「そか」


「時空転送は二個あると言われているのは知ってるな?
あるかもしれないと言われていたが、もうあると思っていいだろう」


「うん」


「俺ももうひとつの装置は場所がわからないが・・どちらか一つはしっかりと作られた本物で、
もう一つはそれを似せて作ったものだと言われている」


「え?ダミー?」


「使えない事はないと思うんだけど、まだ俺は触っていないからわからない」


「じゃあ東のモノが本物か偽物かも分からないの?」


「そう言う事だ。お前には悪いが・・一年前までの記憶しかない俺には使えるかどうかも定かじゃない」


「あ・・そうだよね」


そんな私とセンリのやりとりを、ずっと静かにギンは聞いている様だった。

センリもだいぶ淡々としている。


「まるで俺もタイムスリップした様な気分だからな」

「うん」