ガチャっ。


丁度同じタイミングで区長とナギがドアを開けた。


「おお・・」


区長はナギの、禍々しい負のオーラに一瞬たじろいだ。

なんとも言えない引きこもりのオーラだ。

真っ黒な前髪の奥から鋭い目つきでナギは区長を睨んだ。


「何?」


「ここは君の部屋かね」


「そうだけど」


冷たくさらりとナギは答える。


「見せてもらっても?」


「別にいいけど・・なんにもありませんよ」


ナギは平然と部屋を見せる。


センリとギンはそれを廊下から見守った。


ガランとした部屋。

物は全然置かれていない。

真っ黒なカーテンとベッド、小さなテーブルにコーヒーカップが置いてあるくらいだ。


「フム・・」


区長はひげを触りながら全体を見回す。


「確かに誰もいない。隠れるところも・・ないな」


「ええ。この家で一番テキトーに作られた俺の部屋です」


「見せてくれてありがとう」


「どうも」


区長は部屋を後にした。

それを確認すると、とりあえずセンリもギンも安堵した。