「なんだ、恨み言の一つでも言いに来たか。わざわざ」


「え・・」


センリはそう言って顔をそむけた。

違う、違うよセンリ。

ただ顔が見たかっただけなんだよ、私。


ああ、何やってるんだろう私は。

この人がセンリなのかも疑わしいっていうのに。


「ギンから聞いた。俺はお前をこの時代に呼んだらしいな」


「あ・・うん・・」


私は牢の前にしゃがんでセンリの目線に合わせた。


センリだ。顔も声も。



「いまだに信じられないが・・・はぁ」


疲れている。当然だよね。

こんなとこに入れられて、自分は記憶ないって言ってたもんね。



「でも、スマホを拾ったまでは覚えているんでしょう?ずっと時空転送の事を研究してて・・」


「お前もそれを聞きに来たのか」


「あ、そういう訳じゃ・・」


そんなつもりはなかった。

でも記憶が一年前で止まっているって聞いたから。

話題にしてしまった。


「まだ憶測の段階だっていうのに・・ギンもナギも何度も尋問してきて。疲れたよ」



ああ、本当に私の事を覚えていないんだね。

話し方が凄く他人行儀だもん。

知らない人に話しているみたいに聞こえる。


わかってはいたが、やっぱり辛い。

心がチクンとした。