私はそっと部屋の扉を開ける。


「ぁ・・・」


見張りの人だろうか、凄く眠そう。

そうだね、夜勤だもんね。

ご苦労様です。


私はしらっと目の前を通る。


「え、ヒオリ様?」


「あ、ちょっと・・小腹が空きまして・・ハハ」


「お一人でどちらへ」


「何か食べたいなって・・」


と嘘をつきました。

ごめんなさい。



「ではお部屋でお待ち下さい。私がお持ちします。果物などがよろしいですか?」


「あ、はい。お願いしてもいいですか?」


「もちろんです」


といい人そうな兵士さんは厨房の方へ向かった。



ごめんなさい。


私はそれを見送ると、そそくさと廊下を歩きだす。

競歩的に。


地下牢には一度行った事があるから場所は覚えてる。


「よし・・」


音を立てず、忍者になったつもりで廊下を駆け抜けた。