「まあ、良いではないか。少し理解に苦しむが、これで時空転送の事を聞き出せる」

「トキワ様!?」


センリはトキワ様の言葉に驚き固まった様子だった。


「ちっ。面倒な事になりそうだぜ・・クソ」


ギンは苛立ちを近くにあった壁にぶつけている。

トキワ様は沈着冷静に言った。


「もしかしたら我々は、センリを操る誰かによって監視されているかもしれん。心せよ」


「・・・はい」


ギンとナギは頷く。


「裏の事、やはり調査は早めるべきだろうな」


「ど、どういうことですか!!一体何が起きているのですか!!!」



センリだけが、慌てふためいている。

それはそうだろう。

記憶が一年ずれているんじゃ。

一年前にはまだ王に時空転送の事も伝えていないみたいだ。



「センリ・・」


私がぼそりと呟くと、センリは私を見つめる。


「教えてくれ・・わからない・・これは・・なんなんだ!!」


「・・・」


私はセンリに近づくことが出来なかった。

この人が本当にセンリなのか、それすらも疑わざるを得ないんだ。

例え、傷があったとしても。

何かの前ぶれを予兆しているとしか思えなかったから。