「手紙だな。書き途中だけど」


「え?誰宛?」


「それは書いてないな」


裏返してもあて先は書いてない様だった。


「えーと・・6月6日、試験的実験完了・・ちゃんと言葉になってない。暗号みたいに書いてある」


「暗号?・・」


それって探偵もののドラマとかである謎解き的な?

するとナギが私を見て言った。


「6月6日ってヒオリが家に来た日だぜ」


「え!?そうだっけ!?」


「ああ」


ギンも頷いている。


「じゃあこれは私の事を誰かに伝える為に?トキワ様にとか?」


「いや、そんな感じでもないな」


「えー?」



皆真剣な面持ちだ。


「8月上旬に本試験を実行予定」


「え!?」


ドキリとした。


「何処かで時空転送が行われるって事!?」


「恐らくそういうことだな」


私はさっき思い出した女性の事をこのタイミングで打ち明ける事にした。


「あの、トキワ様!みんなも聞いてください」


「どうした?」


「今日、街で女の人とぶつかって・・その人、私と同じ過去の人かも知れないんです!」


「え!?」


ツカサさん達が驚く。


「ぶつかった時にメモ帳を落としたみたいで・・文字がほら」


ツカサさんに見せると、焦りつつも頷いてくれた。


「本当だ・・この時代の文字じゃない。はっきり読めるな」


「でしょう?しかも慌てて走って行ったんです」


「それはつまり?」


ツムギさんが難しそうに顎に手を乗せて首を傾げている。


「また誰かによって過去から人が呼び寄せられたって事?」


「・・・そんな・・可哀想・・」


クレハちゃんは言葉を失った様だ。