「時空転送についてはツカサ達がいるときに話した方がいいだろう。
今夜に集まれるようにしておいてくれ」


「わかりました」


「では、ギン。ナギ、お前達は今日からこのトキワの側近としてヒオリの警備を任せる」


「・・はい」


「わかった」


二人はあんまり納得いってない顔してる。

それはそうだね、自由ではないし。

それに住むところも別になる訳だから。


「では手続きを済ませてきて欲しい。この紙を、城の管理の者へ」


「ナニコレ・・」


ナギははてなマークを浮かべてる。


「契約書だ。これがないと月一の報酬はもらえぬぞ?」


「え!?」


まあ、普通ありますよね。アルバイトでもなんでも契約書は最初に書くもんね。

ナギの驚きように私が驚いたわ。


「金は入り用だろう?今後の生活の為にも」


「そりゃそうだ」


ギンは当たり前だが納得してる。


「無償で働くというのなら止めないが。メシも食えなくなるぞ」


と王は意地悪そうに言った。

それには流石に二人は完敗だ。


「わかりました」


と二人は立ち上がる。


「いってらっしゃい」


「シズク、二人を案内してやれ」


「畏まりました。こちらです」


シズクちゃんは二人を促してくれた。

しかしギンとナギは部屋から出て行くとき、何故か心配そうに私を見た。


「?」


「〇〇〇〇〇」


ギンが口パクで何か言っている。それはすぐに理解出来た。


『き・を・つ・け・ろ』


ああ、なるほど。

王とふたりきりになっちゃうもんね。

その心配なんだ。

アハハ。

大丈夫だとは思うけど。うん。



私は焦りつつも手をひらひらと振って見送った。