センリの件があってから、一週間が経った。

王は忙しいみたいでしばらく会っていない。

ツムギさん達もたまに顔を出してくれるけど、ずっと一緒にいるわけじゃない。

街でも何やら情報を捜索しているみたい。

私はナギとシズクちゃんと3人でいる事が多かった。


そんなある日。


「よお」

「ギン!」


突然部屋にギンが現れた。

兵士に案内され中へと入って来れたみたいだ。


「カサネさん、大丈夫になったの?」


「おお、すでにぴんぴんしてうるさいのなんの。逃げてきた」


「え゛!?逃げた!?」


「すっげーキス迫ってくるんだぜ!?逃げるっての」


それに対しナギは呆れているみたい。


「お前、約束したんだからしてやれよ」


「そうなんだけどよ。一週間前から一日一回ほっぺにチューしてやったら、もう調子に乗って。駄目だと思って病院に預けてきた」


「もうーギンてば。カサネさん可哀想でしょ!?」


「はあ!?俺だって可哀想だろ!?好きでもない男にチューは拷問に近いんだぜ!?」


自分で約束したんだろうが。



「まあ、すぐに見舞いに行けるようにこっちの病院に移動させてきたからヒオリもいつでも会いにいけるぜ」


「そうなんだ!それは会いたい!」


「ああ、俺抜きで行ってこい」


「お前も絶対来いよ。俺がキスしやすいように押さえつけてやるから」


「ああ?クソガキ、床とチューさせてやろうか!?」


全く、いつも会えばこの調子だ。

これがきっと普通なんだろうけど。

ここにセンリがいればもっと、楽しいのに。


私はふっとため息をついてしまって、シズクちゃんが真っ先に気が付いた。


「ヒオリ様?どうなさったんですか?」


「ううん、なんでもないよ。大丈夫」


と愛想笑いをしてしまった。


途中あんなに憎かったけど、やっぱりセンリには・・いて欲しかったな。

この二人のところに。