「では、行くとしようか」


「え・・」


王は私を抱きあげる。


「まずは城へ。お前達も色々あって疲れたろう」


「王様」


手際よすぎ。

お姫様だっこを軽々してくる所とか。


「シズクがお前を心配していたぞ。毎夜涙を流して」


「シズクちゃんが・・」


そうだね、きっと心配かけた。

沢山。



「ちょ、ちょっと待ってください!病院に大怪我したやつがいるんです、すぐには行けません」


とギンが慌てて目の前を遮った。


「ほう?ならばお前は後から来ればよい、その者と」


「ヒオリを連れて行くんですか!?」


「当たりまえだ。私にとってもヒオリは大切なんだからな。」


「ぐっ・・」


ギンはとてつもなく悔しそうだ。

そんなギンの肩をポン、とナギが叩いた。



「俺がヒオリを守っとくから、色んな意味で。お前はカサネと後から来い」


「まーーーーじーーーーーかーーーーーー!!!」



ナギはいい気味だと言わんばかりだ。

笑っている。


そしてギンは泣きそうな顔してた。


「ギン、待ってるから・・」


「ヒオリぃ・・」


ギンだけを残し、私達は西の国へと向かった。