バサッ


と巨大な羽をしまうと、白いドラゴンの姿から王は人へと変貌した。


20名ほどの精鋭兵を従えながら王は近づいてくる。



「ヒオリ、元気そうだな」


ドキン


真っ先に私の名を呼ばれ心臓が跳ねた。


「は、はい・・」


怖い。顔見たくない・・。


私は婚儀を逃げ出した身だ。

王からすれば攫われた身かもしれないが。


「話は俺がする」


とギンが一歩前に出た。

勇気ある行動にその場にいる全員は固唾を飲み見守った。



「貴様は・・・」


「・・・」


じろり。

と王は睨みを返してきたが、すぐに冷静な顔つきにもどった。


「センリの私兵から手紙を預かった。これを書いたのはお前だな」


と懐から一通の手紙を取り出した。


「俺です」


「センリが何者かによって殺されたと・・」


「ええ」


「お前達ではない誰かに」


「そうです・・だからワザワザ伝えました。俺が殺したのなら伝えませんよ」


「ふむ・・」


ギンの心を読み取ろうとしているのか、王はジッと何か考えている様だった。