お風呂から上がっても私の心はすっきりなどせず。


皆と顔を合わせたくなかった。


見透かされそうで怖かった。

だから客室に一人戻った。



「はぁ、何やってんだ私・・」



センリの手から救ってくれたギンとナギの顔を思い出す。

今ならときめくくらいカッコいいと思える。

嬉しかった。

でもそうだ。これで二人が新しい出会いをして私が過去へもどれれば全部すっきり収まるんだ。

ツカサさんみたいに考えれば。


「おい?ヒオリ?」

「え・・」


振り向くとギンが立っていた。


「な、何?」


ヤバい。動揺を隠せない。

目を泳がせてしまった。


「なんか、様子おかしくね?」

「え?何が?」

「いや、お前のその態度」

「べ、別に普通だけど」


と目を背ける。


「あ、わかった。嫉妬した?俺が他の女と話して・・」


「は!?」



ズキン


私の顔は一気に歪んだ。


ギンはいつも通りの冗談のつもりだったみたいだ。

でも私の顔は、冗談に見えないほど痛々しかったみたい。


「え?お前・・」


「え?は?何?何言ってんの?」


駄目だ言葉が出てこない。

なんで私ってこんなに不器用なんだろう。

なんで上手くごまかせないんだろう。


泣きそうだ。