「あいつらは、路頭に迷ってる俺を見つけてくれて、事情を真剣に聞いてくれた。凄くいいやつらなんだ」


「そんな感じですね」


それは肌で感じました。

皆ツカサさんが大好きって感じ。



「俺達の時代じゃ、なかなか困っている人を助けるなんて出来ないだろ?
もしやりたいと思っても人目を気にしたり勇気が出なかったり。見極めるのも難しい」


「わかります。恥ずかしい気持ちが勝ちますよね」


「そ、でもこの時代の人間は助け合ってる。しかも嬉しそうに助けてくれる。そこがいいなって思ったんだ」


「私もそう思います」


ギンとナギは命がけで私を助けに来てくれた。

カサネさんだって。


「温かいですよね、皆」


「ああ。」


ツカサさんは嬉しそうにしているが、寂しそうにも見えた。


「それでも、2017年に戻りたいですか?」


「それは、半分諦めていたからな。さっき話を聞くまではね。でも、もしかしたらっていう可能性があるんだったらやっぱり帰りたいな」


「・・・そうですか」


「フフ、ヒオリちゃんは別にそう思ってないみたいだね」


「え?いや、そんな事はないんですけど。でも、ギンやナギを見てたらあの二人を置いて行けるのかなって・・」


「へぇ・・」


ツカサさんにとっては意外な答えだったみたいだ。

帰れるんだったら帰りたい。

でも半分は帰りたくない。

この時代だって、穏やかな生活がある事を私は知っている。

それに嬉しかったから。

ギンやナギが私の存在を大切にしてくれるから。

私は二人に甘えているだけなのかもしれないけど。




びゅう。

と風が吹き抜けた。

薔薇がゆらゆらと揺れている。


「何か飲む?中で紅茶でも飲もう」

「あ・・はい」


誘われて私はそのまま後について行こうと思った。


一人はやっぱり寂しいと思えたから。