「やれやれ、なかなか成長しないなナギは」


言いながらセンリはギンに翻訳のチップを渡す。


「あ、そうだこれでヒオリの言葉がわかる様になるよ。翻訳機」

「マジか!」


ギンはそれを肩に着けていた小さな機械にかざす。するとチップは中に溶けて行った。

凄い技術だ。


あの機械を通して脳内にプログラミングされるの!?この時代の人達って・・凄い。テレパシーで会話とかしちゃうのかな?!



しかしギンは使いながらも少し戸惑っていた様子だ。


「でもよ、これ使って大丈夫なのか?大事な保管資料なんじゃ?」


え?そうなの?もしかして博物館とかにある貴重なものなんじゃ・・。


「大丈夫大丈夫。バレなきゃ」


「えっ」


バレたらヤバいんじゃん( ゚Д゚)


センリの性格がよくわからない。

出会ったばかりで当然なんだけど。

勝手に正義感が強くて几帳面でマメな優しい人かと。

大分私から見たセンリの株があがっている。


「俺は別にヒオリの言葉読解出来るし必要ないけど。ギンいらないんだったら別に・・」


「あああ!?いるいる!いるに決まってんだろ」


「ふ・・フフ・・」


私は可笑しくて笑ってしまった。

こんな変な場所に来てしまったが、今は平和なひと時を感じることが出来た。

笑ってる私を見て、センリは安心した顔をしていた。

「ヒオリにはこっち。旧型がいいと思って」

まるでアクセサリーの様なブレスレットを付けてくれた。
翡翠のような石が埋め込まれている。


「どう?ヒオリは言葉理解できた?」


「うわ・・凄い・・急に全部解る!ありがとうセンリ」


「喉はもう大丈夫そう?」


「うん、センリが用意してくれた飲み物飲んだら凄く良くなったよ」


「痛みにはあの薬が一番だからな。即効性もあるし」


「そうなんだ・・ありがとうね」


ほんわかした雰囲気になり、私もすいぶんと精神的に落ち着いた。

ギンはなんだか少し機嫌が悪そうだ。私とセンリの仲良し度アップにやきもちを妬いているのか?


「なんだよお前ら、ふざけんなよ。大体俺が最初にヒオリを見つけて保護しようぜって言ったのに」


「え?そうだったんだ・・・助けてくれてありがとね、ギン」


「あ?・・おう」


素直にお礼を言うとギンは照れくさそうに喜んだ。


初めて見た時の衝撃が激しくて恐ろしく思っていたけど、きっと私と変わらないんだ。

普通の人間なんだ。

半人半獣という以外は。

食べられるなんて思ってたし、誤解してたな私・・。

慌てふためていた昨日の自分が若干恥ずかしく思えた。