「どうぞご自由に。あーあ、戻ろうかな。王様のとこに」


「ば、馬鹿。冗談言うなよ」


とギンは焦っている。


「だって」


王様はきっと他の人に目移りなんてしないし。鼻の下伸びないし。

と言いたかったが、グッと堪えた。

変な薬から助けてくれたのは事実だ。



「俺達はヒオリと一緒がいい。ずっと」


とナギは真剣な顔して言った。


「そうだぜ」


と続けるギン。



「でもさ、今後他にもきっと出会いがあるよ?センリが東の国の女性達を解放したって言ってたし」


「いや、そうも上手くいくわけねえよ」


「え?」


「そう単純じゃない。それくらい今の日輪は女不足だ。やり方は国によって違うが。全体を見ればやっぱり深刻な問題なんだ」


「そうなんだ?」


私は全然この時代の深刻さは掴めていない。

でもきっとギンが言うなら本当だろう。

ここの街にも歩いている男しか見当たらないもんね。

さっきの人は数少ない女性って事か。


「そりゃ、鼻の下も伸びるか。珍しいんじゃ」


と私は諦めた。


「まあ、男の本能だな」


「自分で言うなっての」