その日の夕食の時だ。

シズクちゃんは緊張しながらも聞きたい事を聞いてきた。


「ヒオリ様は、どこの国からいらしたんですか?」


「え?」


「だって、半分言葉がわからないですし、とても遠い国からいらしたとか?」


「・・・そう、かも」


と戸惑う私に、シズクちゃんは近寄った。


「やっぱりわからないんですか?自分でも」


「・・うん。覚えてたよ。だけど・・今は思いだせない。なんでかなあ?」


「それは・・・」


シズクちゃんは私のお膳に乗っている薬湯を見つめた。


「やっぱりこんなのおかしい・・なんか変や」


「シズクちゃん?」


「私はこのお膳を厨房の人から渡されて持ってきていました。でも明らかにヒオリ様の最近の様子はおかしい」


「ど、どうしたの?」


「私はヒオリ様の事は良く知りません。でも、ヒオリ様が自分の事をよくわからなくなってしまうなんて・・・かわいそうや」



かわいそう?

私が?

それすらも理解出来なくて私は困惑した。


「ほんまに幸せですか?ヒオリ様」


「え・・・」


シズクちゃんの問いかけに私は眉をしかめた。

理解出来なかった。どうしてそんなに憐れんでいるのか。


「し、幸せだよ・・だって・・」


と答えるが自分でもよくわからない。

これが幸せなのかと言われたら。


また疑問があがってくる。