「トキワ様、そろそろお時間です」


「わかった」


お付きの者にそう言われ、トキワ様は席を立った。


「もっと一緒にいたいが、仕事がある。自分の部屋でシズクと過ごしてくれ」


「はい」


そう言って部屋を出て行った。


「ヒオリ様、シズクです」


「うん。今行くね」


私も席を立ち、シズクちゃんと一緒に自分の部屋にもどった。


「ヒオリ様、だいぶ落ち着きましたね」


「え?」


「ここに来た頃は、感情が表に凄く出ていましたけど。今は穏やかそうで」


と可愛らしい笑顔でシズクちゃんは言った。



「そう、だったかな?もう覚えてないや。最近忘れっぽくて私」


「ヒオリ様・・」



私の言葉を聞いて、シズクちゃんの表情が曇った。

そして私に聞こえないくらい小さな声で


「かわいそうや・・」


と言った。