その頃の私はというと、トキワ様と一緒にソファーに座ってお茶を飲んでいた。


「もう、落ち着いたか?」


「はい」


私が頷くと、トキワ様もホッとした様子だった。


トキワ様は前を向くと、ジッと何か考えているみたい。



「トキワ様?どうかしたんですか?」


「・・・いや。なんでもない」


と誤魔化す様に私の頭を自分に寄せた。


怖いくらい真剣な目をしていて、私はそれが引っかかった。



「トキワ様」


「ん?」


「はい、あーん」


と近くにあったお茶菓子をトキワ様の口に運んだ。


「ん・・」


ちょっと驚いた顔をしていたが、その茶菓子を食べてくれた。

そしてほほ笑んでくれた。


「トキワ様の笑った顔、好きですよ」


「ヒオリ・・」


「だから、笑顔でいてください」


と私が言うと、穏やかな表情で私の頭を撫でてくれた。


「お前というやつは本当に・・」


と途中で言うのをやめた。


「え?」


「なんでもない」


と言って、トキワ様は私の唇を奪った。