その光景を、ギンは遠くから覗き込みながらがっくりと肩を下ろしていた。


「な・・なんでだ・・なんでああなる?」


「ギン」


「あいつは攫われたんだぜ?なのになんで」


ブルブルと震えている手を、カサネが止める。


「言ったでしょ?様子がおかしいの。薬でも盛られてるんじゃないの?」

「クスリ・・・だと?」

「今は危険すぎる。王はあんなに余裕ぶってるけど、簡単に人を殺せるんだから。もう少し様子を見てから・・」

「ふっざけんなよ!あんなの見てられるかよ!行くしかねぇだろ!?」



ヒソヒソと言い合っている間にも、トキワがヒオリを良いようにしてしまう。

我慢できるハズがない。


「あ、待ってギン!誰かいるわ!」


「何?」


「ほら、あそこの柱の陰よ」


気配を感じ、カサネはギンを後ろに下げた。