王が行った後、ギンはそのまま立ち尽くしたままだった。

カサネはすぐにギンの肩を叩く。


「ギン、聞いて。しっかりして」


「え?あ、おう・・」


怪訝そうな顔でカサネは言った。


「あのね、ヒオリんの様子がおかしいのよ」


「は?」


「なんていうか、笑顔なんだけど・・ボーっとしてる様な感じで。
普通捕まっていたら、落ち込んだり怒ったり泣いたりしない?」


「ああ、牢に来た時は・・・」


「昨夜、屋根裏からのぞいていたんだけど・・・終始笑顔だったわ」


「マジか・・なんでだ」


「それが謎なのよ」



ギンの頭は混乱した。


は?

あいつは捕まったんじゃねーのか?

しかもなんだそれ?笑顔?楽しそう?

さっきの会話も・・・。

王にお礼なんか言っちゃって。しかも様つけて呼んでたし。



心配そうにカサネはギンの頬をぺしぺしと叩く。


「どうするの?ナギ君を助けに行く?それともヒオリん?」


「・・さっきのはなんだか腑に落ちねぇな」


そう困った顔でギンが言うと、カサネは少し笑って言った。


「気になるなら、後を付ければいいわ。いきましょう」


「・・・ああ」


不安にかられながらも、二人は王とヒオリの後を追う事にした。