王は大人の包容力で私を心配してくれた様だ。

気遣ってくれる。


「まだ少し疲れているのだろう。喉が渇いてはいないか?」


「・・・はい。少し」


と答えると、王は水の入った瓶を手に取りコップへ注ぐ。


「ヒオリ」


そしてそれを自分の口に含むと、唇を重ねてきた。


「えっ?・・・ん・・・っ」


ゴクッ・・

水が勝手に喉に入ってきて、私は思わず王にしがみついた。


「旨いか?」


「え!?・・はっ・・えっとあのっ・・」



カアアア///


私は何をされたの?

く、口で・・はわわわっ!!!

信じられない!!何この展開ヤバいんですけどっ!!



顔を真っ赤にしていると、王はほほ笑んでいた。



「フフ、可愛い。おいで、もっと飲ませてあげよう」


そう言って私を抱き上げ自分の膝に乗せる。


「と、トキワさ・・王様・・私重いですからっ」


「全然重くはないが」


「でも私、ナギに・・・」



ズキン。一瞬頭が痛んだ。

あれ?

ナギ?

完全にナギを忘れていた気がする。

口に出して思い出した。

私は動揺した。



「あれ?なんか・・変です」


「どうした?」


「私、忘れてた・・ナギを?何で?」




それに対しショックを受ける。

なんで忘れていた?今、どこかで苦しんでいるハズなのに。