隣の部屋に入ると、白い着物を着た王が待っていた。

大きな和柄のソファーに腰を掛け、日本酒を飲みながら。



「ああ、来たか。こちらへおいで。今日は仕事が早く終わったんだ」


「お疲れ様です」


促され、私は王の隣に座る。


「1日経ったわけだが、もう慣れたか?」


「はい・・」


相変わらず優しい話し方だ。

そして頭をよしよしされる。


「食べ物は口に合ったか?ヒオリの好きな食べ物を今後用意させるぞ」


「どれも美味しかったです。お心づかいありがとうございます」


私は心からのお礼を言った。



「うん、今日は顔色も良いし。落ち着いているな」


「食事に薬湯が付いてきました。それを飲んだら・・・」


「薬湯・・か」


思い当たる節があるのか、王はそれを聞いて首を傾げる。


「昨日は辛かっただろう?今はどうだ?まだ心が痛むか?」


「え?・・いえ。痛みません・・・むしろスッキリしていて・・何をモヤモヤしていたのか思い出せないんです」


王はそれを聞いて一度顔をしかめた。


「そうか」


「あの・・・私・・・」


「ん?」


なんだろう、頭がほわほわして。何も考えられなくなってきた。

力も入らないし。

変な感じなんだ。


「あ・・・すみませ・・」


身体の力が抜けて、ソファーにだらっと脱力してしまった。

王様の前で、失礼な私だ。