「さっきも言ったろう?ヒオリが大人しくしていないと二人の命はない」


「私だって言ったわ!死んだっていいって!!」



というセンリと私のやりとりにギンはたじろぐ。



「何がどうなってんだ」


「ギンっ」


私はセンリを振り払ってギンのもとへと駆け付けた。


「ヒオリ・・お前‥大丈夫かよ」


「うん・・うん」



ようやく会えた気がしてホッとした。
格子に手を添えると、ギンは私の指を握ってくれた。



「なんかすげえことになっちまったけど、必ず迎えに行くからな」


「そ、そんな・・駄目だよ。センリに殺されちゃう」


「は?俺がアイツよりも弱いって思ってんの?」


「そういう事じゃないじゃん!拘束されてたら、手も足も出ないでしょ!?」


「大丈夫だ。だから、ヒオリは自分をしっかりと守るんだぜ」


「ギン・・・ぅ・・」



そう言われ、ぼろぼろと涙がこぼれる。


「帰りたいよ・・あの家に」


「ヒオリ・・」


「帰りたい」


きゅっと私はギンの手を握り返す。

だが、それはすぐに振りほどかれた。

センリによって。


「もういいだろう。最後の別れになるんだから」


「え?」


「は?てめ、ふざけんなよセンリ!このクズ野郎」


「何とでも言え。もう、終わりだ」


センリは私の腕を掴むと、冷たく言い放つ。



「ここで誓え。もう二度と逢わない。トキワ様と一生を共に過ごすと」


「センリ・・」


「でないと今から、ナギを殺す」


「!!!」


「ギンも殺す」


何度窮地に立たせれば気が済むんだろう。

私を試しているのか?



「センリ・・」


「誓え!!!」


と強く叱咤され、私の体がびくついた。


「ち・・誓う。誓います」


「目を見て言え」


「誓う!!だからもう、言わないで!!!」


そんな事言わないで。

言葉にしないで。

殺すなんて。




決別。

この人との決別だ。


もう私はセンリを二度と許すことは出来ないと思う。

ガラスが砕け散るみたいに。

終わった気がした。