「あの仕事に一筋のトキワ様がついに女性を娶ったと、評判にございます」


「え・・・」


「いくら美人の女性がお話してもなびかないって噂になっていたので、これで西の国も安泰ですね」



どこまで勝手に話が進んでるんだあああぁ!

私はもとの時代に帰りたい一心なのに。


「あ、あのね・・シズクちゃん。それは誤解というかなんていうか」


なんて言ったらいいのかわからない。

私は王の奥さんになる気なんてこれっぽちもないのだ。



シズクちゃんは首を傾げながら


「ええと、ヒオリ様はなまりが強くて半分何を言っているのかわかりませんけど。
東からいらしたと聞いてますので、これから宮をご案内させていただきますね」


そ、そうだった。翻訳チップをつけてるナギとギンしか基本話が通じないんだった。


「ヒオリ様?」


「・・・」



でもこれはもしや逃げ出せるチャンス?