センリは泣き崩れる私を抱きしめようとしたらしい。


でも途中で手を下げた。

そして両肩を強く掴まれる。


「ヒオリ、トキワ様はとても心が広く素晴らしいお方だ。
あの方の近くにいれば絶対に辛い思いなど今後ないんだ。
現に東の国とは違いこの国は女性は自由に街で暮らしている。
そんな場所なんだ」



知らないよ。

どうでもいいよそんな事。


「東の国の女性も解放され、皆助かるだろう」


だからどうでもいいってば。

私はこの世界の人間じゃない。


「お前はいつもみたいに明るく元気にトキワ様の力になってくれ。
俺達にしてくれたみたいに」


私の気持ちはお構いなしなの?


「お願いだ。せめてお前に幸せになってもらいたいんだ」


だから、その言葉にはもう騙されない。

ときめいたりもしない。


「無理やり連れてきた人間が言う事じゃないかもしれないが・・」


まったくその通りです。


「俺はずっとそう思っているよ」