王は近くにあった分厚い座布団に腰かけ、困った顔で私を見ている。


「初めて見た時はもっと感情豊かな女だと思ったのだが?」


「・・・」


「衝撃的な場面を見てしまったから仕方ないのだが・・な」



その通りです。

と言わんばかりに私は顔を逸らした。


「私があそこに行かなかったら、おそらくお前は東の王に手籠めにされていたぞ?」


「・・っ・・。」



確かにそうだ。

この人が来なかったら私は・・・。


私は心にもないお礼を言った。

ぼそりと。


「ありがとうございました」


「うむ」


ようやく返事をした私に、王は嬉しそうにほほ笑んだ。