ナギの指示する方向に王の自室がある。


「あの・・階段を昇れば」


「わかった。頑張れよナギ」


ナギを抱えながらギンは階段を目指す。


すると後ろから警備兵とイタルが駆け付けた。


「ギンー!」

「ギン隊長!!」

「よお、イタルどうした」


血相を変え慌てた様子だ。


「か、解放軍が動き出した!」


「・・は?マジ?」


「ああ、今応戦してるんだ!指示を頼みたい!!」


ギンは唸る。

センリの野郎・・マジでやりやがった。

早すぎる・・。


「すまねえ、イタルがやってくれ」


「は!?何でだ!!」


「俺は王子の傍にいなくちゃならねえ」


「ギン・・」


それを聞き、ナギはギンを見上げた。

純粋に嬉しさがこみ上げてきた。

じんわりと涙がたまる。



「隊よりも大切なんだ・・こいつが」


「それは・・皆そうだが、お前は隊長だろ!?仕事をほっぽりだすのかよ!?」


「仕事よりも大事なんだ。守らなきゃならねえんだ・・大切な人を」


「ギン・・」


イタルはギンの決意の目を見て、切り替えた。

王の部屋に何かあるっていうんだな?


「わかった。お前の手柄、俺がもらう」


「ああ、頼む」


「後で吠え面かくなよ」


「ハハ・・ああ」


イタルはきびすを返し、駆けていった。