「ヒオリを離せ」


「久しぶりの言葉がソレか」


王は私の胸ぐらから手を放す。


「ナギ!!」


すぐにナギのもとへ駆け寄ろうとしたが、王によって阻まれた。


「痛い!!」


手を後ろ手にひねられる。


「止めろ!!」


「止めてください。だろう」


なんて嫌なヤツだ。マジで憎いわ。

王はニヤニヤと楽しそうにしている。


「この女を俺のモノにしてやろう。お前が俺の言う事を聞くと言うなら」


「!!」


「え!?」


ナギも私も驚く。


「お前にこの城にとどまっていて欲しいからな」


「断ったら・・・?」


「この女は城の最深部へ送る。一生出られない場所だ」



ナギは思い詰めている様だった。

私には何を考えているのか見当もつかなかったが、口を開いた時、ショックを受けた。


「兄貴、俺をずっと探していたのか?5年前から」


「そうだ。お前が逃げたのは誤算だった」


「アレは本当なのか?」


「アレ、というと臓器移植の事か?」


「ああ・・・」



は?何?臓器移植!?ナギ、何を言っているの?


話についていけず混乱した。


「お前を逃がさないように、今度は鎖をつけておかねばな」


「俺は逃げねえ!」


覇気のある声でナギは言った。


「ほう?」

それを聞いて王は楽しそうだ。