今にも泣きだしそうなナギだ。


「ギン・・伝えておく」


「ん?」


「多分俺は王に殺される。だから・・ヒオリだけは頼む」


「は?何それ」


ギンは笑い飛ばした。


「初めてあった時に言ったろ。王は・・兄貴は俺の体が目当てだ。・・臓器を」


「・・・それマジ?冗談だと思ってたわ」


「本当だ・・だからその事実を知った時に、逃げ出したんだ」



勘当されたわけではなかった。自分から逃げ出したのだ。

10才だというのに頼れる宛もなく。



もしもの為の臓器提供の為に生かされているとナギは言った。



「なんだ、じゃあ王様に何にもなければいいって事だろ?」


「何、楽観的に考えてんだよ」


「つまり逃げ出せる可能性はあるって事だ。あきらめんな」


「はぁ?・・・くそ・・ごめん。ギン・・ごめんな・・ぅ・・」


とナギは涙を流した。

手足は縄で拘束されている。ぬぐえぬ涙は地面へとぽたぽた落ちた。


「馬鹿、大丈夫だ。俺がいるじゃねーか。ちょくちょく様子見に来るから。な?」


「ん・・」


こくりと頷き、ナギは静かになった。


「では、失礼いたします」


とギンはワザとらしい挨拶をし牢から出た。



爪のあとが痛々しいほど拳を握りしめて。