「起きたね?」


ドアの開く音がして、センリが入ってきた。


「ぁ・・」


ズキンッ!

痛い。喋るとめちゃめちゃ喉が痛い。



「喋らない方がいいよ。痛めてるから」


センリはタオルと取ると桶の水で濡らした。


「ごめんな。ナギの事」


「・・」



返事をするように私は小さく頷く。


「もうちょっとで折れるとこだったよ。本当に危なかった」


「ぇ・・」


ズキンッ!

いったああああああああい(泣)

あの・・根暗男ぉああああ!!!


普通に憎い。許せない。


「落ち着け。余計痛くなるから」


「・・」


たしかに。落ち着け私。


私の首に濡れタオルを置いて、センリは頭を撫でてくれた。


「本当にごめんな」



正直、疑心暗鬼の目でセンリ達を見ているので優しくされると本当に困る。

だって、この時代の事を教えてくれたとしても、別に知り合いでもなんでもないし、むしろ殺されかけたし。優しくされても嘘っぽいなって思う。


警戒し、じーーーーっと半分睨みつける私。

そんな私にセンリは優しい笑顔を向けてくれた。


「知りたい事があったらなんでも聞いて。後、しばらくここにいてもいいから」


「!」


それは甘えたい。夢じゃなかったからには、きっと彷徨って餓死するだろうから。

こんな見知らぬ土地で生きていく自信なんてこれっぽっちもありませんから。



「正直言うと、ヒオリにとっても興味あるし。なんでココへ来たのかとか、色々知りたいし。あ、変な意味じゃないから」



わかってますうぅぅ!

と心の中で叫ぶ。喉も痛いしね。



「それと、ナギは近寄らせないから安心して」


それはマジで頼みます。今度こそ私の息のねを止められかねないから。


「・・」


ぐうぅ~~。

そんな折、お腹が鳴る残念な私。


それを聞きセンリは吹き出しそうになったのか口を咄嗟に手で覆っていた。


「お腹空いてるだろうけど、喉痛めてるから普通の食事は少し我慢して。
柔らかい物だったらいけるかな?用意しておくから動けるときに食べて」



コクコク。

と私は頷いた。


「フフ。じゃ、また来るから。ゆっくり休んで」



そう言ってセンリは部屋を後にした。

私はじっと真っ直ぐ見つめながら考える。


うん。イイ人ぽい。センリは少なくともイイ人にみえる。


とりあえず様子を見る事しか出来ない現状だ。


目を閉じ、喉の痛みと戦った。