ということは、そんなに過酷な生活を送っているわけではないという事かもしれない。


でもリッカさんの話を聞いた後だ、騙されたりしないんだからね。


確か、王に見初められればマシだって言ってたな。

きっとふるい落としみたいなものがあるのだろう。

ま、関係ないけどね!絶対に隙を見て逃げ出してやるわ。


「あまり険しい顔をなさらないでください」


「あ・・」


30分後、私の化粧は終了した。


「・・・」


ペコり。とお辞儀だけをし私は立ち上がる。


あんまりしゃべっちゃバレちゃうもんね。

私の姿を見て、侍女長はほほ笑んだ。


「必要事項だけ、お伝えします」


「はい」


「これから宮に入っていただきます。お城の最深部です。貴女の所属はZ-113261のお部屋です」


Z!?それってAから始まってるの!?

どんだけ女の人が住んでるの!?ここ・・・



「お勤めが終わるまではこの城からは出られません」


「・・・外出とかはないんですか?」


と思わず聞いてしまった。



「ありません。必要なものは全て揃っております。ここに小さな街があると思ってください」


なるほど・・・。



厳重に管理されてますね。


てことは、やっぱり出ることはかなり難しそうだ。


「もし、ここから逃げ出そうとお考えであればおやめください」


「え・・」


「見つかれば即刻、さらに最深部に連れてゆかれます。最深部は最もお勤めが大変な場所です。きっと後悔するでしょう。・・・・もしくは死です」


「最深部・・」



もしかしてリッカさんが言ってたやつ?永遠に卵だけをってヤツ・・


ゾクッ


「女は生まれたら、王のもとでお勤めを果たさなければなりません。それに背くという事は・・・」


ごくり。


「わかりますね?」



と目で訴えられた。


なるほど、この世界の闇ですね。わかります。


恐怖でとにかく従うしかないのだと悟った。


私はコクリと頷いた。