「ではまずはこちらでお清めをお願いします」


「は?」


私は首を傾げる。


「外気に触れておりますので」


「・・・お風呂毎日入ってるんですけど」


「・・・あなた・・」


ドキン


侍女長は眉をしかめて私をのぞき込む。


え?何?



その時私はハッと気が付く。

翻訳チップの存在を。

私は腕輪をしているから相手の言葉がわかるけど、相手は何もつけていない。

なので私の言葉は半分しか通じないのだ。


「とにかく、お入りください」


「はい・・」


ヤバい。悟られない様にしないと。

でもどうしたらいい?

とりあえず黙って従うしかない?



絹でできた高級そうなカーテンをくぐると、目の前にはシャワーと湯船。


「そちらを真っ直ぐ進んでいただいて、出たところにタオルと服が用意してあります」


「は、はい」


ここで今着ている服とはおさらばということね。

腕輪だけは絶対に持ってないと!

私は腹をくくって服を脱いだ。


こうなったら内部の情報探ってやるんだからあああ!


と意地になった。