廊下を歩いていると、前の方にいた兵士達が頭を下げ始まった。


「お、なんだ?」


「早く頭下げろ、王がいらした」


「王が?」


珍しい。

城の奥に引きこもっているだけかと思っていた。

実際この5年、王が変わってから新王は城の外には出ていないとの情報だったから。



ギンは頭を下げ、王が通るのを待った。


フワッと・・・風が吹く。


嵐の匂いがした。


王が通りすぎ、ギンはバレない様静かに首を曲げ王の顔を見た。


「!!」


そして目を見開いた。


ナギ・・にそっくりじゃねーか!?

いや、知ってたけどよ。ナギが王族だって知ってたけど・・・

似すぎだろ。




もちろん王の顔は知っていたつもりだった。ニュースや新聞で見ていたが実物を見ることはまれだった。

なので双子だと思うほどナギにそっくりで驚いた。

思い出すのは5年前、泥だらけのナギを保護した日だ。

その頃のナギとは似ても似つかなかったから今まで気がつきもしなかったのだが。


「兄弟・・ね」


改めてナギが王族の血を引いている事を再確認した。