その日はもやもやしたまま眠れぬ夜を過ごし、あっという間に次の日の朝を迎えた。

瞼が凄まじく重い。朝方ようやく眠れて起きたのはお昼過ぎ。

ギンはいつも通り朝に仕事へ向かい、ナギも畑へ収穫に行ってしまっている。



「ナギってば、私を置いて行くなんて」


と怒っている私だが、寝坊したのは私である。

トイレからリビングに向かう廊下を歩く。


「あれ・・・」



センリの部屋のドアが少しだけ開いている。


うわっ。イチャイチャしてたらどうしよう。


死ぬ。


もう二日、同じ家にいるのにセンリの顔を見ていない。


ずっと部屋にこもりきりで、そこに出入りしているのはリッカさんだけだ。



私はドキドキする胸を手で押さえながら静かに部屋の前を通る。


「フフ・・」


と笑い声がする。


もちろんリッカさんの声だ。


センリも何か話しているみたいだが声が小さすぎて聞こえない。


いや、別に聞き耳立ててる訳じゃないから。

うん。

勝手に入ってくるだけだから。


なんで家の中でまでドキドキしなければならないんだ。


憂鬱すぎ。