「立ち話もなんだから、座って」


「は、はい・・」


私はビクビクしながら従った。

この人は私を見ながらニコニコと嬉しそうな顔をしている。

いい人そうに見えたのでとにかく一番気になる事を聞いた。

すんごーーーい小さな声で。


「私は・・あなた達の餌・・か何かですか?」


「は?」


きょとんと目を丸くしてセンリは私を見た。


ヤバい。なんか言っちゃいけない発言した?


急に心臓がバクバクしてきたのですぐに俯いた。



「プ・・ハハハ・・ハハッ」



センリは吹き出し笑う。


私はその声に顔を上げ、念のため近くにいた二人の顔も確認する。

首を傾げている様だ。

その二人は私が何を言ったのか聞き取れていないので、センリが急に笑い出した事に眉をしかめている。



「ハハ・・ごめ。ツボった。ハハハ」


「あ・・の・・」


真剣な顔で私は青ざめているというのに、それがまた可笑しかったようだ。


「ハハハ・・その顔・・フハッ」


「おいセンリ!何笑ってんだ?」


後ろの一人が見かねてセンリを突いた。


「だって、この娘が自分を俺達の餌だろうって・・ハハハ」


「はあ?」



懸命に笑いを抑えながら、センリは近づいてきた。



「安心しろ。俺達にも好みがある。お前は餌じゃない。プフフ」


「!」


私はそれを聞いてようやく息を吐ききった。

空気の抜けたタイヤみたいにしぼむ。



「よ・・かったぁ」




とりあえず一安心だ。