「だから・・・その・・」


ナニコレ。青春ラブストーリーなの?

ナギは耳を赤くして俯いている。

私もつられて赤くなってしまった。


「ヒオリの事・・好きなんだ・・だから傍にいて欲しい」

「え・・あ・・え・・」


た、耐えられない。

ほとばしる青春なんて、過去と一緒に置いて来た私には眩しすぎる。


「ナギがそんな事を言うなんて・・」


「ヒオリが鈍感なだけだろ。ギンだってヒオリの事好きなのに」


「うーん・・」


私の事を好きになってくれるのはとても嬉しいけど。

自分はそんなにイイ女ではないと思っているし。

一気に二人から好かれている事が奇跡というべき出来事だと思うんだ。


ナギは釘を刺す様にまた繰り返し言ってきた。


「もう一回言っておく。センリだけは駄目」


「・・・なんで?かたくなだね」


「だって、怖いもんアイツ」


「は?」



何処が!?

とてもさわやかで星五つのイケメンに見えてるのですが。

それは私が恋に恋してるからなの?


「あいつに取られるくらいなら、先にヤッとけ。的な」


「こら」


ナギのおでこピンした。


「ナギの気持ちはわかりました。ありがとう」


ぺこり。


「でも、ごめんね。誰とも私は付き合えない。」


「じゃあなんの為にここに居るんだ?」


「え・・・さあ?」



それは私だってわからないな。

成り行きだもん。

この先どうなるかなんて・・。



「3人の誰かを選ぶんじゃねーの?」


「・・・それは・・ない」


多分。恐らく。


「んだよ。生殺しかよ」


「またそんな事言って。ギンの影響だね!まったく」


「まあ、でも・・何処にも行くな」


「え?」


「何処にも行かないで欲しい」


真剣に目を逸らさずに言われる。

その言葉はとても私の心に刺さった。

純粋に嬉しかったんだと思う。


「あ、ありがと・・」



なんだか照れてしまった。