「あの、今更なんだけど。私校内に入ってもいいの?」


「・・わからん」


げ。そう来たか。女ってバレたら一巻の終わり。


「ナギ。本当に大丈夫なの?」


「・・・」


だんまりかい。

マジですかい少年よ。

信じた私が馬鹿だったの?そうなの?どうなの?


「センリに会いたいんだろ?」


「・・・。」



もはや逢えなくてもいい気がしてきた。

ええ、私は自分の身を最優先する人間です。



「あれって・・・」


「ナギ?」



皆がナギを見ている。

どんだけ有名なんだよ。

逆に目立っちゃってるよ。

私の内心はガクガクブルブル。

帰りたい思いでいっぱいになった。


「あのお・・もう、いい」

「は?」

「帰ろ?なんかナギ、有名だし。めちゃ見られてるし」

「もう少しで古文の資料室だから我慢しろ」

「でも、迷惑かけちゃうし・・ていうか私ここに来たら怒られちゃわない?」

「それは保証しない。お前は逢いたいから来た。それだけだろ」


なんか騙された感が半端ない。

いや、踊らされたというべきか。


顔が青ざめてきた。


「うわ。だっせ。ビビってる」


「ビビるっての!馬鹿ナギ」


「ああ?」


怒りながらもナギはズンズン歩いて行く。

校舎を曲がると、古文資料室と書かれた部屋にたどり着いた。


キンコンカンコン・・・



予鈴が鳴った。

生徒たちは教室へと入っていく。